“地球の声を聴くワークショップ”の2日目、4日目に、
3つの柱のうちのひとつ、「インテグラル・エコロジー(Integral Ecology)」について、
ファシリテーターのひとり、Sean(ショーン/カリフォルニア統合学研究所教授)から、
膨大な情報量をぐぐっとまとめたプレゼンテーションを、
前・後編に分けて届けてもらいました。
専門的かつ抽象的な内容を、その場で高い解像度・臨場感を持って通訳してくれたのは、同じくファシリテーターのひとり、Ken(安納 献/CNVC認定トレーナー)。
その内容が非常に価値あるものと感じ、ショーンに同意をもらい、プレゼンテーションの動画を公開します。
5日間のワークショップ全体は、
ジョアンナ・メイシー(Joanna Macy/仏教哲学者・環境活動家)がつくった
「つながりを取り戻すワーク」(3つの柱のうちのひとつ)のコンセプト、
“The Spiral”(スパイラル/らせん)をベースにデザイン。

“ 感謝 ”(gratitude)
“ 痛みを大切にする ”(honoring our pain)
“ 新しい目で見る ”(seeing with new eyes)
“ 前へ進む ”(going forth)
Spiral artwork by Dori Midnight
ショーンのプレゼンテーションは、
前編:“痛みを大切にする”(honoring our pain)
後半:“新しい目で見る”(seeing with new eyes)
にあたるタイミングで届けられました。
プレゼンテーション前編:「終末」を生きる
人間の、膨大な営みから、数多の影響が複雑に重なり合って地球にインパクトを及ぼしていることで、
地球温暖化、気候変動、大量絶滅、
そして、人間の営み自体にも破滅的な影響をもたらしている。
その影響の大きさ、速さ、起きていることの確実さは、
普段私たちが触れているメディアや情報から想像する以上。想像を遥かに超えたもの。
「すべての海洋生物は崩壊の直前にいる」
「気温が、たった3度上昇しただけで、沿岸地域は海に沈んでいく。もちろん、そこには日本の沿岸都市も含まれる」
・・・
プレゼンテーションの中では、他にもたくさんの情報が伝えられました。
こうした情報を「悲観的すぎる」と批判する言説も世界には流れていますが、
ショーンがこうした情報のすべてに触れようと試み、
英・仏・独語の情報、世界の国際会議の情報を集めた上で、
「98%はこれに同意するものだった」
と話してくれました。
それくらい、地球の、この観察は、確かなことなのだと受け取っています。
このプレゼンテーションを受け、
ワークショップの場・参加者は、未来に対する“絶望”の感覚を、さまざまに胸の内に感じていたと思います。
その感覚を語り、他の参加者と分かち合うために、ペアワークで語り合い、
受け取った情報と感じたことを頭・身体・心に響かせ、統合していくプロセスをとりました。
そして、ワークショップは、“ 痛みを大切にする ”(honoring our pain)ための大切なワークに進んでいきます。
ショーンの「インテグラル・エコロジー」
プレゼンテーション 前編
「終末」を生きる
全文書き起こしが必要な方はこちらからどうぞ。
プレゼンテーション後編:終末を「生きる」
プレゼンテーション前編のあと、
それぞれの中で息づく絶望や大きな痛み、嘆きを、
無いものとして感じないようにするのでなく、
頭・身体・心で十分に感じ、
さまざまな形・大きさのインパクトで表現し、受け取るプロセスを経て、
私たちは、“ 新しい目で見る ”(seeing with new eyes)フェーズへ。
まず、
今を、地球を、私たちを観る、
新しい見方を体感させてくれる、
映画・プラネタリー(PLANETARY)を上映。
この映画にはショーンも出演していて、ファシリテーターのひとり、Yuka(齊藤 由香/アクティビスト・翻訳家・通訳・ワークショップファシリテーター)が日本語字幕制作に携わったものでもあります。
(字幕制作に共に携わったYasumori Tsukadaさんも今回のワークショップに参加してくれていました。連綿とつながれた想いと積み重ねに、大きな敬意があります)
私たちは地球「上」に生きているのではありません。
私たち自身が地球なのです。
46億年の深い眠りを終え、ガイアは今、私たちを通して目覚めようとしています。
プラネタリーは現代という未曾有の時代をいかに生きるかを私たちに問いかけます。
この映画を通して私たちを支える生命の織り物の存在に気づき、人間として生きることは惑星として生きることであるというメッセージがみなさんに届く事を願っています。
Philosophy, Cosmology and Consciousness 教授
California Institute of Integral Studies
ショーン・ケリー
(こちらは予告編。
「予告編」なのに、4分と少しの短い映像の中に、
“PLANETARY”な - 惑星的な - 見方がぎゅっと詰まった傑作です)
(全編版をvimeo上でレンタルor購入することができます)
そして、“ 新しい目で見る ” の中核の一つとして、インテグラル・エコロジーの後編が始まります。
「この時代に、私たちはどう生きるのか?
絶望に囚われるのでなく、かといって希望に安息を求めるのでもなく、
自分たちの存在や地球の未来に、どんな願いを込めて生きていくのか?」
という問いに、
「人類は世界をどう観ることに始まり、どのように今のような世界観になったのか?」
「“地球誕生から46億年”という、長大な時間感覚(Deep Time)から、今の時代はどう見えるのか?」
「宇宙には、“太陽のような恒星が3兆個もある銀河の集まり”が、“さらに数多に”存在している。
私たちの銀河に限っても、地球のような星は何百万もあることがわかってきた。
全宇宙では、地球のような星が、それぞれの進化の段階で数多あることだろう。
”想像を絶する広大な宇宙(Deep Space)の中のひとつの地球”で、私たちが今のような文明・社会をつくり、生きて、未来に取り組んでいるというのは、どういうことなのか?」
といった、“世界の見方”の時間的・空間的・意識的な広がりを大きく拡張していく時間でした。
ショーンの「インテグラル・エコロジー」
プレゼンテーション 後編
終末を「生きる」
(全文書き起こし準備中)
そして、ワークショップは最後のフェーズ、“ 前へ進む ”(going forth)へと進んでいきました。
続きます。